『ジャスミンの花開く』http://www.jasminewomen.jp/

章子怡が好きな人以外にはお薦めしないかな。上海で写真館を営む女性三代の年代記で、確かに章子怡は可憐だし上海の変遷や時代の流れなどもそこそこ描かれてはいるけれど、描写に工夫やひねりがなく、歴史と政治に対する作者の意思が何一つ感じられない。その辺りは周到に排除して、いつの世も変わらぬ男と女の姿を描こうとしているのかもしれないけれど、だとしたらその国でその映画を撮る意味はどこにあるのかと思う。特に現代中国を舞台にして年代記を編もうとするのなら、その視点の欠如は致命的ではないですかね。


とまあ大げさなことを書いてますが、何が気に入らんといって「日本軍が来た」という場面では「軍隊の行進・流れる日本軍歌・なぜか飛んでいる大量の紙」、「共産党時代」では「指導者の写真を捧げ持って行進・流れる共産党讃歌」というようなとにかく陳腐な描写がですね。色彩以外に監督の作家性を感じなかったなあ。物語も登場人物も魅力がなあ…。


ぶうぶう言いながらも第一章を見ながら「わー姜文わーキザだねまったくもう」とニコニコしていたのは私です。何やらせてもうまいなあ姜文。彼がマフィアのドンを演じる中国版ゴッドファーザーとか、誰か作りませんかお願い張藝謀(指名)。