『胡同のひまわり』http://www.himawari-movie.com/

大好きな映画『スパイシー・ラブ・スープ』『こころの湯』を撮った張楊監督の最新作で父子ものときたらそりゃあもう、この夏の本命と目して期待を込めて見に行きました。結果はうーん、どうだろう悪くはないのですがしかし。


子供の画才を伸ばすために厳しく指導を続ける父親と、自由を求めながらも絆を捨て切れないその息子の30年の軌跡を、北京と胡同の変貌を背景に描いた物語で、「感動作」と謳われているけれども、これに感動するかどうかは見方によるんじゃないかなあ。子のためだけに生きる父親というのは、確かに美談ではあります。しかし自分の父親に「これからもずっとお前と共に」などと言われるのは、ある種ホラーではありませんか。抑圧的・強権的なものに反射的に嫌悪をおぼえてしまう私は、父親に反発をおぼえ、ラスト近くの選択にも釈然としないものを感じました。監督もその辺りはよくわかっていて、親子の葛藤と埋まらぬ溝を描いたのだろうなあ。単純に「ああ良い話だった」と思えるような映画ではなく、親子のあり方について考えさせられます。


物語以外の部分では映像良し・役者良し・胡同良し(何だそれは)で、30年間の時代と政治をきちんと描いていて、この間見た『ジャスミンの花開く』とは比較になりません。これが映画であれはTVドラマだ。うん、張楊監督は良い仕事をするね。